元禄文化 遊芸・悪所・芝居
【重要】
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■商品説明
「遊び」から見える「元禄町人文化」の深層。江戸太平の世、町人たちの担う都市大衆文化が豊かに花開いた。多様な芸事、悪所と呼ばれた遊里、人々を熱狂させた芝居。「遊び」の視点から活写する元禄文化史。
十七世紀末、西鶴、近松、芭蕉、光琳、師宣らを輩出した元禄文化が花開く。文学、絵画、工芸のみならず、町人が主役となり、奢侈の風俗を生んだ。遊里に入り浸る新興商人、芸事に溺れ身を滅ぼす二代目、芝居に憂き身をやつす人々。生産と消費の外部にある第三の領域=「遊び」という視点から、太平の世の町人文化の深層に迫る。
*本書の原本は、1987年、弘文堂から刊行されました。ただし、本書では、守屋毅著作目録を巻末に追加掲載しました。
【目次】
序 章 「町人」の時代──『日本永代蔵』の世界から──
町人の登場/「才覚」と「仕合せ」のめぐりあい/奢侈と「元禄風」/町人の生活倫理/不思議な誘惑──遊芸・悪所・芝居──
第一章 「遊芸」という行為
一 ものみな遊芸──遊芸の構図──
「諸師諸芸」の名簿/西鶴のえがいた町人の遊芸/近世文化の遊芸性/芸能者の変貌と「諸師」の誕生
二 「外聞」としての遊芸──芸事の機能──
都市と余暇/芸が身をたすける/人づきあいとしての遊芸/女性と遊芸/遊芸にもとめられたもの
三 遊芸をささえるもの──遊芸の周辺──
町家の成立と「座敷」/美術工芸品と遊芸/遊芸と出版文化
四 破滅をかけて──遊芸批判の背景──
「芸自慢」の危険性/『町人考見録』にみえる町人たち/二代目の遊芸/遊芸批判の系譜/遊芸の歴史的位置
第二章 「悪所」という観念
一 「悪所」という言葉
町人語としての「悪所」/「悪所」とその仲間たち/「悪所」と「悪性」/悪所・好色・浮世
二 遊里批判の論理
なぜ「悪所」なのか/遊里史のうえの元禄期/消費もしくは浪費の誘惑
三 虚偽と虚構
遊里の虚偽性/「辺界」の「悪所」/「いつわり」と「まこと」
四 「悪所」の悪所性
欲望の抑制/「地女」と「女郎さま」/町人における「家」の形成と性/「遊び」としての性
第三章 「芝居」という空間
一 「芝居」と芝居見物
櫓・木戸・看板
札場と札銭
桟敷の客・平土間の客
見物の数
二 「芝居小屋」をめぐって
「芝居」という建物
「芝居」の規模
「常芝居」について
芸能上演の臨時性と野外性
差別される「小屋」
三 とざされた「小屋」
鼠木戸
「芝居」の分布と「芝居町」
「芝居」の数
四 饗宴の場としての「芝居」
「悪所図」をよむ
もうひとつの「悪所図」
正徳の禁令から
桟敷の風景
芝居茶屋というもの
役者の男娼性
元禄文化史覚書──「あとがき」をかねて──
参考文献
守屋毅著作目録
■
著者
守屋毅(もりや・たけし)
1943~1991。早稲田大学第一文学部卒業。立命館大学大学院文学研究科修士課程修了。日本中世・近世文化史専攻。京都市史編さん所員、愛媛大学助教授、国立民族学博物館教授を歴任。文学博士。1986年、河竹賞、サントリー学芸賞(芸術・文学部門)を受賞。
■著者
【守屋 毅著】

