デカルト形而上学の成立
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■商品説明
「私は実在する」とはどういうことか。神が存在するとは? 四つの書簡から、「方法序説」『省察』まで、精緻に読み抜いた「これこそがデカルト」!
「私はあり、私は実在する」という認識は、「すべての認識のうちで最も確実で最も明証的」である。――近代哲学の父ともいわれるデカルトのこの哲学とは、いったい何なのか。神の存在証明とは? 書簡・小篇から主著『省察』まで、細密に読み解き、デカルトの形而上学が成立した道筋を詳細に辿り、その本質を「観念(イデア)」論としてとらえた画期的力作!
「「私」は間違えたことがある。疑いの道の始まりにはこのことがある。真であるか、偽であるかわからないから疑う。知らないから疑う。知らないと知っているわけではない。疑うことをとおして、疑うことの理由を見出すことをとおして、なぜ知らないのかわかる。「私はあり、私は実在する」。これはどのようにしても、どこからみても疑いえぬ立言である。疑うことは「思うこと」である。疑いつつ疑いえぬとわかる。「私は思うものである」。このことは揺るがない。確実である。しかし、知識として確実であるということとは異なる。」――<本書より>
※本書の原本は、1990年、勁草書房より刊行されました。
【目次】
第二版序文
読者への序言
第I部 先入見の排除
第一章 「形而上学の小篇」と「永遠真理創造説」
第一節 一六二九年と一六三〇年のデカルト思索史上の位置
第二節 三〇年の四つの書簡の検討
他
第二章 三〇年の永遠真理と形而上学
第一節 永遠真理についての三〇年の思索の核心
第二節 「形而上学の小篇」と「永遠真理」と自然学
他
第II部 感覚から観念へ
序論 「観念」への歩み
第一章 『宇宙論』における「観念」
第一節 「光論」と『規則論』との非連続性
第二節 「人間論」について
第三節 「人間論」における「観念」
第二章 「屈折光学」における「観念」
第一節 類似性の否定
第二節 類似性からの解放
第三節 「観念」と「感覚」
第三章 「方法序説」「第四部」における「観念」説
序論 「第四部」の構成
第一節 疑い
第二節 心についての認識
第三節 一般規則
他
第III部 形而上学の成立
序 論 『省察』について
第一章 疑いの道
第一節 「第一省察」の構図
第二節 疑いの始まりと疑うということ
第三節 感覚的意見への疑い
他
第二章 人間精神について
第一節 「私」の「あること」と「実在すること」
第二節 「私」の「何であるか」
第三節 自己知から想像力を切り離すこと
他
第三章 形而上学の立論
第一節 何処から何処へ
第二節 観念の第一の途
第三節 観念の第二の途
他
第四章 真と偽の成り立ち
序論 「第四省察」を巡る先入見的思い込みの排除
第一節 多くのこととごく僅かなこと
第二節 いっそう私へと
第三節 私の誤りは何処から生じるのか
他
第五章「観念」論としての形而上学
第一節 「第一哲学」と「形而上学」
第二節 「観念」論の意義
第三節 無限なるもの
引用文献一覧
あとがき
■著者
【村上 勝三著】
1944年生まれ。東京大学哲学科卒。現在、東洋大学教授。専攻は哲学。とくにデカルト研究は高く評価されている。

