伊勢神宮と日本美
【重要】
大文字版オンデマンドの表紙はこの画像とは異なります
■商品説明
節ひとつない檜材で20年ごとに建て替えられてきた伊勢神宮。その清浄で質素で力強い姿は、日本人の魂の原風景である。伊勢神宮こそが、「日本古来」の建築の原型であるとの主張がなされてきた。明治以降、国家神道となったことにより、その言説はますます強くなった。現代でさえ、古代住居の復元時に伊勢神宮にその形を求めることもある。江戸から現代に書かれた資料を徹底的に読みとき、神宮の本当の姿を解明する。
「伊勢神宮……世界的観点からみて古典的天才的な創造だ」ブルーノ・タウト「日本固有の社殿には斗きょうもなく……極めて質素である」伊東忠太「上代より伝へ来つた様式のまゝ天武天皇の時に再営せられたもの」関野貞。
江戸時代~現代まで、日本はこの建物に何を見てきたのか?節ひとつない檜材による伊勢神宮の神殿。その清浄で質素な姿は、仏教伝来以前の建築の原型であると主張されてきた。宣長、伊東忠太、タウト、天心、磯崎新……。「天地根元造」説、「南方」説、「長江」説、「雲南」説……。多くの研究者が、変化する時代、文化、社会状況の中で多様な説を展開した。徹底的な資料の解読で、神宮の本当の姿に肉薄する。
「こんどの本では、自分なりの神宮像もうちだしている。そのなりたちに関する、歴史的な見とおしも、書ききった。傍観者席の安全地帯からは、足をふみはずしている。……この本を読んで、私とはちがう神宮論をくみたてることも、できなくはないだろう。読者が、それぞれの判断で、べつの読みときをこころみても、べつにかまわない。私の本は、読んだ人が自分なりの神宮論をひねれるところまで、つれていく。その案内役も、はたせているはずである。」――<「まえがき」より>
※本書の原本『伊勢神宮 魅惑の日本建築』は、2009年に小社より刊行されました。
【目次】
学術文庫版まえがき
まえがき 裸眼の神宮論へ
第一章 雲ガ畑にそびえる千木
第二章 「天地根元宮造」の二百年
第三章 世界のなかの伊勢神宮
第四章 雲南、南洋、ツングース
第五章 黄河か長江か
第六章 弥生の神殿がうかぶまで
第七章 池上曾根の光と影
あとがき 日本的建築様式をめぐって
註
主要参考文献
■
著者
井上章一(いのうえ・しょういち)
1955年生まれ。京都大学工学部建築学科卒業。同大学院修士課程修了。現在、国際日本文化研究センター勤務。歴史家、評論家。著書に『つくられた桂離宮神話』(サントリー学芸賞)、『南蛮幻想』(芸術選奨文部大臣賞)など多数ある。
■著者
【井上 章一著】

