再発見 日本の哲学 和辻哲郎――人格から間柄へ
【重要】
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■商品説明
近代日本の思想史を代表する哲学者の一人、和辻哲郎。彼が、構築しようとした「倫理学」とは、どのようなものだったのか。西田幾多郎やハイデッガーなど、同時代の哲学者とも干渉しあいながら、「人間=じんかん」を考察したその思想形成の現場に迫る。
和辻哲郎は、明治22年(1889)に兵庫県で生まれ、30歳にして名著の誉れ高い『古寺巡礼』というベストセラーを刊行します。早熟で、高名な学者として大正から昭和30年まで活躍します。ただし、その終生をかけた仕事とは、倫理学の構築でした。「人」ではなく、「人」と「人」の間、すなわち「人間=じんかん」の学として、倫理学を打ち立てようとしたのです。『古寺巡礼』が、初期の作品であることからもわかるように、仏教を研究し、『正法眼蔵』を読み解き、そして倫理学へ。
近代日本の代表的な哲学者のひとり、和辻哲郎の思想は、どのように生成されていったのか。道元、西田幾多郎、ハイデッガー、あるいは仏教、西洋哲学、さらには時代の思潮とさまざまに格闘しながら、近代の代表的哲学者が思想を形成していくさまを、緻密な筆致で描いた力作です。
*本書の原本は、菅野覚明・熊野純彦責任編集「再発見 日本の哲学」の一冊として、2008年、小社より刊行されました。
【目次】
1- あらかじめ喪われたこどもに
1.死んで生まれる
2.「もの」と「こと」
2- 表現としての人格
1.「人格」の変容
2.『福音書』と『正法眼蔵』
3.経験我と普遍我
3- 人格から間柄へ
1.西田幾多郎
2.ハイデッガー
3.「人格と人類性」
4.主体の再生
5.間柄
■著者
【宮川 敬之著】
1971年鳥取県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。大本山永平寺に安居修行。現在、鳥取県天徳寺住職。主な論文に、「和辻哲郎と表現の問題」(RATIO3号)、また近刊予定に『正法眼蔵を読む』がある。

